アドラー心理学はコミュニティ中心療法
アメリカのカール・ロジャーズが開発した心理療法で来談者中心療法というものがある。
英語ではClient centered therapy。
カウンセラーが中心になって教えたり導いていくという方法ではなくて、
クライエントの話を受容・共感して聞いていくと、クライエント自身が気づいて快方に向かうといった治療法だ。
カウンセラーが助言をしたり、こうしなさいと指示する治療に比べると
すごく賛成できる治療法なのだが、
これではクライエントが良ければそれでいいという結末もあり得る。
つまり、競合的な人間になってしまうという結末もあるわけだ。
アドラー心理学は、実はクライエントの希望はどうでも良くて(どうでもいいというと言い過ぎだが)、
クライエントが共同体に対して貢献的(協力的)になれるように援助する。
その結果対人関係も良くなるわけだが、クライエントにしては決して楽ではない。
幸せには近づくが。
そういう意味ではアドラー心理学は家族や社会や国や世界といった共同体を中心に考える心理学なのだと思う。
Community centered therapyとでもいうのだろうか?
その一員として適切に共同体に所属できるようにクライエントを援助する。
誤解して欲しくないのは、人を社会のルールに当てはめて生きて行かせるということではない。
むしろ現在の社会が競合的で生きづらいなら、協力的な新しい社会にするように進むのがアドラー心理学の目標で、
決して一個人のことだけは考えていない。