一大ブームの陰に潜むマインドフルネスの問題
アドラー心理学もそうかも知れないが、マインドフルネスもかなり乱立している。
個人があちこちで色々行っており、一本化したスタンダードがない(正しい間違っているは問題にしない)。
本格的な資格もないのが現状だ。
だからどれを選んで行ったら良いかというのは非常に難しい。
ましてや、病院で医療として行っているのは数少ない。
私は九州大学病院で心療内科の患者さんに治療として行っているマインドフルネスを一緒にしているので、やり方も進め方も体感している。
そういう現場で経験を通して学んだことがないと、実施できないと思う。
他の心理療法は知らないが、マインドフルネスは瞑想の要素を含んでいるので、自分が体感していないと他者に伝えるのは無理だ。
この点はアドラー心理学でも同じである。
全国に標準化したマインドフルネス療法が普及するのは、今の段階ではほぼ見通しが立っていないと私は思っている。
まずは標準化したマインドフルネス療法を確立しその指導者を育成する。
その役は残念ながら医療領域では医師しか出来ないのではと思う。
何故なら治療効果の判定が必要だからだ。
どの方法が治療に効果的かを見ながら確立していく必要がある。
そして指導者を各地に育成する。
その指導者がさらに時間をかけて実施者を育成する。
テキストを読んで、講習を数回受けただけでは全く出来ないと思う。
少なくとも私は1年間、複数回病院でのセッションに参加しているが、まだ一人で指導できる自信はない。
半年間はそれのみの講習を毎日行って、やっと出来るのではないかと思う。
(医療的なマインドフルネスに関して言えば)医師以外の職種の方にまで普及するには、少なくとも数十年~100年はかかると思う。
そこまでの時間とお金をさける特殊な環境にいる人は少ない。
国もその講習費用を負担するほど注目されてはいない。
普及するどころか、逆に衰退していく可能性もある。
マインドフルネスもアドラー心理学同様、細々と活動を続けていくしかないが、アドラー心理学よりは医療で実践できる人が多いのではないかと思う。
アドラー心理学もマインドフルネスも一大ブームだが、手放しで喜んでいられる状況ではない。
私は幸いにも10年以上マインドフルネスで治療をされており、それなりに治療効果をあげている方の元で毎日勉強できているので恵まれている。
アドラー心理学もスーパーバイザーの元で毎日実践できていれば、もっと上達すると思うが、現状では難しい。