北斗の拳 聖帝サウザーにみる体験の回避
週刊少年ジャンプで連載されてた「北斗の拳」は我々の世代の男性なら誰でも知っているであろう有名な作品だ。
その中で、南斗六聖拳の一つ南斗鳳凰拳の伝承者である聖帝サウザーは、パロディ版もできてしまうほどにインパクトのあるキャラクター。
残忍性では1,2を争うのに、なぜか憎めないのは、そうなった過程にみんなが共感したためだろう。
作品をよく知らない人のために、簡単にサウザーについて紹介しておく。
いくら厳しい修行をしていても、師匠は親のように暖かく彼を見守っており、彼も師匠を実の親以上に愛していたのだ。
そして、いよいよ伝承者継承の儀式。
目隠しをして対戦相手を仕留めれば、伝承者となれるという非常に厳しい儀式(もちろん負ければ死ぬ)。
ハンデ自体が半端ないが、相手がなんとその師匠。
代々、南斗鳳凰拳の伝承者は先代を倒して来たのだ。
しかし、目隠しをしてるため、サウザーは相手が師匠だと知らない。
そして、勝利を収める。
目隠しを取った時、彼は真実を知ることになる。
最愛の師匠を自分の手で殺してしまった。
その悲しみの強さにサウザーは愛を拒絶してしまう。
そして、愛を捨て、非情の聖帝サウザーになってしまったのだ。
さすがに最愛の人を殺してしまうようなトラウマ体験は、そうそうないと思うが、
例えば失恋をしてしまった後に、恋愛を避けるようになる体験は誰にでもあるのではないだろうか?
そうではなくても大きな失敗をして、それに関することを避けたりすることはある。
アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)ではこういうことを体験の回避という。
そして、回避すればするほど、そのことに執着してしまうというものだ。
サウザーも愛から逃れようと、徹底的に愛を排除する行動に出ている。
避けようとすれば考えずにはいられないのだ、そしてさらに苦しむようになる。
それではどうすればいいのか?
ACTでは全て受け入れ(アクセプタンス)、避けずに全力で向き合い(ウイリングネス)、よしやるぞ!と意思を持って実行する(コミットメント)。
つまり、苦しいところをあえて向き合って全身でその感情を感じるのだ。
これは行動療法から発展したACTならではの方法でピュアマインドフルネスにはない方法である。
つまり愛を避けるのではなく、自分から積極的に愛したり愛を感じるようにする。
つまりケンシロウのようにあえて。
とするのだ。
うまくまとまったでしょうか?